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【2024/04/20 14:48 】 |
ねこみみ

 ……

兄「どうだ?」
妹「…だめにゃ」
兄「そうか…」
 すっかりネコ語になってきたな…
 こりゃ、本格的に妹の脳がネコミミに侵食されてきたってことか…。
妹「術に失敗したり、術を悪い事につかったら、悪いことが起きるっていうのは書かれてるんだけど…」
妹「どうやって解決したらいいかまでは書いてないにゃ…」
兄「どれ、俺にも見せてみてくれ」
妹「わかったにゃ」
  妹から『人生を最高でハッピーにするための赤魔術講座Ⅰ』とゴシック体で表紙に書かれた本を受け取る。
 かわいらしくデフォルメされたツタンカーメン?のキャラが、表紙にポップな色を沿えている。
 色々と突っ込みを入れたくなる題名と合わさって、非常にうさん臭さを4乗5乗にもしている。
 100Pくらいだろうか。中身を開いてみると、なんと最近流行の萌え系参考書顔負けぐらいに、漫画絵を満載させていた。
 デーモンちゃんとツタンカーメン君のやりとりで、赤魔術の基本構造から初級術式、タリスマンの書き方までが分かりやすく説明されている。
 …おぉ、これなら活字嫌いの俺にもできそうだ。
 …って、俺が洗脳されてどうすんだ。
兄「おい、昨日使った術は、どこに書いてあるんだ?」
妹「えっと…」
妹「うーん」
兄「どうした?」
妹「えっとー。あのね」
妹「昨日使ったのは…私のオリジナルなんだにゃ…」
兄「オリジナル!?」
妹「う、うん…」
兄「まだ習いたてなんだろ、そんなのできるのか?」
妹「…で、できるにゃ!」
 妹の態度がなんか不自然だな。
 …あやしい。

 追求する or 深く聞かない

兄「ほぉ」
兄「じゃあ、どんな術を使おうとしたんだ?」
妹「えっとね」
妹「んっとね」
妹「…幸せになる術にゃ!」
兄「…なんだか、漠然としてるな」
妹「ま、まあね」
 …何か隠しているのは間違いないな。
 今はいいが、後できっかり聞き出してやる。
兄「まぁいいや」
兄「…とりあえず、ネコミミを治す方法は、今のところまったく分からないわけだ」
妹「そういうことになるかにゃん」
兄「…なら」
兄「徹底的に色々試してみるか」
妹「徹底的って…」
妹「ちょっと怖いにゃ…」
兄「心配ない」
兄「兄に任せなさい」
妹「根拠が無い自身ほど、怖いものはありません」
兄「借金の保証人になるほうが俺は怖い」
妹「…確かに」
妹「でも…」
兄「いいか。俺は楽しそうとか、面白そうとか、暇だからとか」
兄「そういう理由で、妹を助けようとしているわけじゃないぞ」
兄「なにより、妹が可愛いからに他ならない」
妹「わたしが…」
妹「可愛い…」
妹「…ポッ」
兄「あぁ。だから、どんな手段を用いても、俺がそのネコミミの侵食から、妹を守ってみせる!」
 がしっ
 自然と妹の両手を掴んで、硬く握り締める。
妹「お兄ちゃん…」
 妹の肩幅は俺の半分にも満たないんじゃないかと思えるくらい細い。
 それに、筋肉がついてないんじゃないかってぐらい、やわらかい。
妹「あっ…」
 俺のまっすぐな視線に物怖じしたのか、妹がうつむく。
 …な、なんだ…その。
 妹とはいえ、自然にした行動とはいえ、なんだか照れくさい。
 いつもと違う距離感に意識してしまう。
妹「え、えっと…」
 いつもの強気な妹が、細い声で困惑を表している。
 これぐらいのボディタッチ、昔はしょっちゅうやってたじゃねぇか!?
 …このままではやばい。
 …どうにかせねば。
 …やばいやばいヤヴァイ。
妹「うぅ…」
兄「ま、まぁ、その、あれだ」
兄「早速色々試してみよう」
兄「な?」
妹「え?う、うん…」
妹「どう…する?」
 不安げな瞳で、上目がちに俺を覗き込んでくる。
 どうするって…俺が聞きたいわ。
 さぁ、どうする…!?

 ネコミミを引っ張る or ネコミミを撫でる

兄「よし」
兄「ちょっとネコミミをこっちによこせ」
妹「はいにゃ」
 ピンと立ったネコミミが、俺の目の前に現れた。
 ふさふさしてて、いと可愛いらしい。
兄「じゃあ」
兄「遠慮なく」
 俺はネコミミに手をかけると、大根を引っこ抜く勢いで引っ張った。
 ぐいっ!
妹「ひぎぃぃぃぃぃいぃいいっ!!!」
妹「いたいぃぃぃぃぃいいぃい!!!」
兄「ぬうっ、抜けないっ!」
兄「敵はなかなか手ごわいな!」
妹「いたいいたいいたいいいい!!!」
兄「改革に痛みはつきものだってさ!」
妹「無責任すぎるにゃぁぁっぁああ!!」
兄「…ふぅ」
兄「つかれた」
妹「……」
兄「…大丈夫か?」
妹「この世の終わりを感じたにゃ…」
兄「そこまでか」
妹「ぐすん」
 よく見れば、妹は涙を浮かべて絶望しているじゃありませんか。
兄「正直…すまなかった」
 …ちょっとやりすぎたかな。
 照れ隠しだったから、その場の勢いでやってしまった。
兄「手が勝手に動いちまって、つい」
兄「しかたがなかったんだ」
兄「こうするしかなかった」
兄「他にすべがなかった」
兄「しょうがなかった」
妹「ぜんぶ言い訳にゃ」
兄「言い逃れともいうな」
妹「分かっててやるから、お兄ちゃんは最低なんだにゃ」
兄「最低…」
兄「がーん」
妹「ちょっとは私をうやうやしく扱ってくれてもいいはずにゃん」

 わかった or わからない

兄「わかった」
兄「がんばるよ」
妹「…珍しく、素直」
兄「要は、ネコミミをやさしく引っ張ればいいんだな」
妹「ネコミミを引っ張るという思考から脱却するにゃあ」
兄「…え?」
兄「でも…どうしたらいいんだ」
兄「他にネコミミを引っこ抜く方法が思いつかない…」
妹「まず、引っこ抜くという思考をどうにかするにゃ」
兄「えぇっ?」
兄「ううーむ」
兄「うぬぬぬぬぬぬ」
兄「…」
兄「難易度高ぇぇぇええ」
兄「一歩目でいきなり死亡とか、最初の町から出る方法が分からないとか」
兄「そんなレベルの難易度じゃねぇえええ」
妹「ゲームの話と現実を一緒にするほうがおかしいにゃ」

 悪魔を頼る or 神を頼る

兄「そうだ!」
兄「きっと悪魔さんならなんとかしてくれる!」
妹「…悪魔?」
妹「悪魔の知り合いなんているのかにゃ?」
妹「エロエロエッサイムさん?」
 今の発言が、なんだか卑猥に聞こえるのは俺だけだろうか。
兄「いやいや違うから」
兄「ほら、妹いってたじゃん」
兄「赤魔術は悪魔を使う魔術だって」
妹「…にゃ?」
妹「…悪魔?」
妹「あぁ、ちがうにゃ。」
妹「悪魔じゃなくてデーモンにお願いするんだにゃ。」
 デーモンと…悪魔…?
兄「違いが分からんぞ」
妹「悪魔はそのまま悪い奴らのことにゃ」
妹「デビルともいうにゃ」
兄「おう」
妹「だけど、デーモンは基本的に良い事をしてくれるにゃ」
妹「私の願いを聞いてくれる、いい奴らなんだにゃ」
兄「…ふむふむ」
妹「わかってくれたかにゃ?」
兄「…つまり」
兄「善悪で区別されてるんだな?」
妹「まぁ、めんどくさいからそれでいいにゃ」
妹「本当は、もっと色々あるんだにゃ」
兄「たとえば?」
妹「デビルはコーラ派で、デーモンはペプシ派にゃ」
兄「めっちゃ庶民的な差やな」
妹「他にも色々あるにゃ」
妹「デビルは豊満な女性の方がすきだけど、デーモンは細身で引き締まった体が好みらしいにゃ」
兄「えっ…」
 俺はどちらかというと、デーモンと趣味が一緒だな…
 …って、そんな問題じゃなかったな。
妹「デビルはマクドで、デーモンはマックだし」
妹「デビルはきのこで、デーモンはたけのこにゃ」
兄「…そりゃ」
兄「対立するわな」
妹「そうにゃ」
妹「デーモンとデビルは昔から仲が悪いにゃ」
妹「多分、デーモンが人に親切にしてくれるのは、デビルの嫌いに反発してるからにゃ」
兄「…つまり」
兄「赤魔術は、デーモンとデビルの対立構造ありきで成り立ってるわけだな」
妹「ぶっちゃけちゃうと、そういう事になっちゃうかにゃ」
兄「じゃあ…」

  デビルを倒す or デーモンを頼る

兄「…もしかしたら、デビルを倒せば、ネコミミが治るんじゃないか?」
妹「なんでデビルかにゃ?」
兄「だって、デーモンは人に悪さしないんだろ?」
兄「だったら、ネコミミをはやすなんて迷惑な事をするのは、デビルなんじゃねぇの?」
妹「にゃるほど」
妹「お兄にゃんにしては、なかなか感がするどいにゃ」
兄「見直していいぜ」
妹「その傲慢さが無くにゃったら考えるにゃ」
兄「赤魔術には、デビルの倒し方はないのか?」
妹「にゃーん」
妹「どうだろ」
兄「教科書に書いてないかな」
妹「赤魔術講座Ⅰでは覚えがないにゃ」
兄「そうか…」
妹「デビルと戦うとにゃると、戦争になるんじゃにゃいかにゃ」
兄「戦……争…?」
妹「小規模のデビルとデーモンの戦いが、どんどん広がり連鎖が連鎖を呼んで」
妹「いつの間にか全面戦争ににゃって」
妹「デビルもデーモンもしょっちゅう人間に干渉してるから」
妹「世界大戦にも発展しかねないにゃ」
 …なんて迷惑な。
 まさかかつての世界大戦は、きのこ派とたけのこ派の対立から始まったのであるまいな。
妹「デビルとデーモンは常に一触即発状態にゃから」
妹「ちょっとした刺激があると、油に火をかける如くに燃え上がってしまうにゃ」
兄「じゃあ、どうすりゃいいんだ」
兄「デビルを倒そうとすると、それが原因で戦争が起こるかもしれない」
妹「…そもそも、デビルを倒す方法がわからんにゃ」
妹「それに、このネコミミがデビルのせいとも決まったわけでもにゃいにゃ」
兄「そりゃそうだが…」
妹「術に失敗したペナルティにゃと思ってたけど」
妹「ちょっと、デーモンさんに相談してみるにゃ」
兄「なんだそりゃ」
兄「そんなことできるのか」
妹「らくしょー」
妹「にゃん♪」
 

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【2009/10/23 07:13 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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